「本を読むのが遅い」
「もっと速く読めるようになりたい」
読書をしていると、このように感じることがあると思います。
ただ、読書は速ければ速いほど良いわけではありません。
初めて学ぶ分野や難しい専門書なら、内容を理解するために時間がかかることがあります。
一方で、すでに知っている内容や、必要な情報だけを探している場合は、最初から最後まで同じ速さで丁寧に読む必要がないこともあります。
つまり、読書速度を上げるときに大切なのは、すべての文章を無理に速く読むことではなく、読む目的や内容の難しさに合わせて読む速度を変えることです。
この記事では、「1冊を何分で読む」といった速さだけを目標にするのではなく、必要な内容を理解しながら、今より効率よく本を読む方法を紹介します。
この記事でわかること
- 本を読むのが遅くなる主な理由
- 読む目的や内容に合わせて読書速度を変える方法
- 速く読むことと理解度の関係、戻り読みや頭の中の音声化の考え方
結論|読書速度を上げるなら「全部を速く読む」のをやめる
読書速度を上げたいとき、最初に意識したいのは、すべての文章を同じ速さで読もうとしないことです。
本の中には、
- すでに知っている内容
- 自分には必要のない説明
- 重要な定義や考え方
- 初めて知る内容
- 理解するために何度か読み返したい部分
があります。
これらをすべて同じように丁寧に読んでいると、1冊を読み終えるまでに時間がかかります。
逆に、すべてを速く読もうとすると、内容を十分に理解できなくなる可能性があります。
そのため、読書速度を上げるときは、「速く読む」ことよりも、「どこを速く読み、どこをゆっくり読むか」を決めることが大切です。
すでに知っている説明や、自分の目的とはあまり関係のない部分は速めに読み、重要な部分や初めて学ぶ内容は理解を優先して読みます。
速読に関する研究でも、読む速度を大幅に上げながら、通常の読書と同じように細かい内容まで理解することには限界があり、読む速度と理解度にはトレードオフがあると指摘されています。
読書速度を上げる目的は、文字をできるだけ高速で目に通すことではなく、必要な情報へ今より効率よくたどり着くことと考えると分かりやすいです。
まずは、自分がなぜ読むのに時間がかかっているのかを確認してみましょう。
| 読むのが遅いと感じる状態 | まず確認すること |
|---|---|
| 初めて読む分野でなかなか進まない | 専門用語や前提知識が多くないか |
| 一文ずつ何度も読み返してしまう | 本の内容が難しすぎないか |
| どこも重要に見えてしまう | 何のために読むのか決まっているか |
| すべての文章を丁寧に読んでいる | 必要以上に全文を精読していないか |
| 頭の中で文章を読み上げている | 音声化そのものではなく、理解や読みやすさとの関係を見る |
| 集中が切れて何度も同じ場所へ戻る | 読む速度より集中状態が原因ではないか |
| 小説だけ読むのに時間がかかる | 物語や文章を味わって読むことを優先していないか |
| 専門書だけ極端に遅い | 本の難易度や前提知識が合っているか |
読むのが遅い理由によって、取るべき対策も変わります。
次から、それぞれの原因をもう少し詳しく見ていきます。
本を読むのが遅くなる主な理由
本を読むのが遅いと感じても、原因は人によって違います。
単純に「読む力がない」「集中力が足りない」と決めつけず、まずはどこで時間がかかっているのかを確認してみてください。
すべての文章を同じように丁寧に読んでいる
本を最初から最後まで、一文ずつ同じように丁寧に読んでいると、どうしても時間がかかります。
もちろん、内容を詳しく理解したい本なら、ゆっくり読むこと自体に問題はありません。
ただし、
- すでに知っている説明
- 自分の目的には関係が薄い具体例
- 結論を補足するための説明
まで同じペースで読む必要があるとは限りません。
必要な部分はゆっくり読み、すでに理解している部分は少し速く進むなど、内容によって読む速度を変えることで、1冊にかかる時間を減らしやすくなります。
読む目的が決まっていない
「とりあえず最初から最後まで読もう」とすると、すべての情報が同じように重要に見えてしまいます。
例えば、ビジネス書を読む場合でも、
- 本全体の考え方を知りたい
- 仕事で使える具体的な方法を探したい
- ある1つの疑問について答えを探したい
では、読むべき範囲が変わります。
読む前に「この本から何を知りたいのか」を決めておくと、必要な部分とそうでない部分を判断しやすくなります。
初めての分野や難しい本を読んでいる
知らない分野の本は、読むのに時間がかかって当然です。
専門用語や人物名、考え方などを確認しながら読む必要があるため、普段読んでいる本より速度が落ちることがあります。
これは、読書が苦手だからとは限りません。
本の難易度や前提知識の違いによって、読む速度が変わっているだけの場合もあります。
専門書を読んでも内容がほとんど理解できず、何度も同じ場所で止まってしまう場合は、無理に速読するよりも、入門書などで前提知識を補ったほうが読みやすくなることがあります。
理解できない箇所を何度も読み返している
分からない文章があると、同じ一文を何度も読み返してしまうことがあります。
内容を理解するために読み返すこと自体は悪いことではありません。
ただ、細かい部分が分からないたびに長く止まってしまうと、本全体を読むのに時間がかかります。
その場ですぐに理解する必要がない部分であれば、印を付けて一度先へ進み、後から戻って確認する方法もあります。
文章の意味を理解するために必要な読み返しまで、無理になくす必要はありません。
集中が切れて同じ箇所へ戻っている
読む速度そのものではなく、集中が何度も切れることで時間がかかっている場合もあります。
例えば、
「どこまで読んだか分からなくなる」
「読んでいたはずなのに内容が頭に残っていない」
という状態が続くと、同じ場所を何度も読み直すことになります。
この場合は、速く読む練習よりも、まず集中が切れている原因を確認したほうがよいでしょう。
読む速度というより、集中が何度も切れて同じ箇所へ戻ってしまう場合は、読書中の集中を維持する方法も参考にしてみてください。
頭の中で文章を音声化している
文章を読むとき、頭の中で文章を読み上げるように読んでいる方もいると思います。
この「音声化」は、読む速度との関係で話題になることがあります。
ただし、音声化を完全になくせば、誰でも理解度を保ったまま速く読めると単純に考える必要はありません。
音声化そのものを原因と決めつけず、読む目的や理解度とのバランスを見ることが大切です。
まず「何のために読むか」を決める
読書速度を上げるために、まず意識したいのが「なぜこの本を読むのか」を決めることです。
同じ本でも、
- 全体の内容をざっくり知りたい
- 仕事や勉強に必要な情報を探したい
- 内容を詳しく理解したい
- 小説や物語そのものを楽しみたい
では、適した読み方が変わります。
読む目的が決まっていないと、すべての文章を同じように重要だと考えてしまい、必要以上に時間をかけてしまうことがあります。
全体像を知りたい場合
本にどのようなことが書かれているのか、まず全体像を知りたい場合は、最初から一文ずつ細かく読む必要はないことがあります。
目次や見出しを確認しながら、各章の要点や全体の流れをつかんでいきます。
このように概要をつかむことを目的として、文章の要点を拾いながら読む方法はスキミングと呼ばれます。
ただし、スキミングで本の概要をつかめたことと、本文を細かい部分まで理解したことは同じではありません。
「今は全体像が分かればいい」という場合に使う方法の1つです。
必要な情報を探したい場合
調べたいことが決まっている場合は、本を最初のページから最後まで順番に読む必要がないこともあります。
まず目次や見出し、索引などを確認して、知りたい内容が書かれていそうな場所を探します。
例えば、ある仕事の方法について知りたいのであれば、その本に書かれている歴史や背景説明まで、すべて同じペースで読む必要はありません。
必要な情報へ早くたどり着くことも、読書にかかる時間を減らす方法の1つです。
内容を詳しく理解したい場合
資格の勉強や専門分野の学習など、内容を正確に理解することが目的なら、無理に速度を上げないほうがよい部分もあります。
初めて見る言葉や重要な定義、前後の関係を理解しなければならない文章では、ゆっくり読んだり、必要に応じて読み返したりします。
このように内容を丁寧に確認しながら読む精読では、読む速度より理解を優先します。
時間がかかっている=読書方法が間違っているとは限りません。
詳しく理解することが目的なら、時間がかかるのは自然なことです。
小説や物語を楽しみたい場合
小説やライトノベルの場合は、情報をできるだけ早く集めることが目的とは限りません。
登場人物の会話や情景、文章の雰囲気を楽しみながら読むのであれば、無理に読む速度を上げる必要はないと思います。
読書速度を上げたいからといって、すべての本を同じ方法で速く読むのではなく、その本を何のために読むのかによって速度を変えることが大切です。
読書速度を上げるために試せること
読む目的が決まったら、次は本の中で読む速度を変えることを意識してみてください。
すべての文章を速く読むのではなく、
- 読む前に本の構成を確認する
- すでに知っている部分は速めに読む
- 重要な部分はゆっくり読む
- 分からない箇所ですぐに止まりすぎない
といった方法なら、理解を大きく犠牲にせず、1冊を読むために使う時間を減らせる場合があります。
目次と見出しで読む範囲を決める
本を読み始める前に、まず目次を確認してみてください。
目次を見ると、
- 本全体で何を扱っているのか
- どのような順番で説明されているのか
- 自分が知りたい内容はどこにありそうか
といった、本全体の構成をつかみやすくなります。
そのうえで、すべての章を同じように読むのではなく、自分の目的に合わせて重点的に読む場所を決めます。
例えば、仕事で必要な情報を探している場合は、目次から関係する章を探し、その部分を重点的に読む方法があります。
反対に、すでに知っている内容や、今回の目的とは関係が薄い章は、見出しや概要を確認しながら速めに読み進めてもよいでしょう。
目次は、それだけで読書速度を上げるためのものではなく、「どこをしっかり読み、どこを速く読むか」を決めるために活用すると分かりやすいです。
知っている部分は速く、重要な部分はゆっくり読む
本を読んでいると、すでに知っている内容が出てきたり、似たような説明を以前にも読んだことがあったりします。
そうした部分まで、毎回同じように時間をかけて読む必要はありません。
内容が分かっているところは少し速めに読み進め、その分、
- 初めて知る内容
- 重要な考え方や定義
- この先の内容を理解するために必要な説明
などは、時間をかけて丁寧に読みます。
つまり、最初から最後まで同じ速さで読むのではなく、内容に合わせて読むペースを変えるということです。
すでに知っている部分は速く、しっかり理解したい部分はゆっくり読むことで、内容を理解しながら、1冊を読むためにかかる時間を減らしやすくなります。
分からない箇所すべてで止まらない
読んでいて分からない言葉や説明が出てくると、その場で完全に理解しようとして何度も読み返してしまうことがあります。
もちろん、その部分を理解しなければ先へ進めない場合は、確認する必要があります。
一方で、前後を読み進めることで意味が分かる場合や、本全体の結論を理解するうえでは重要でない部分もあります。
その場ですぐに理解する必要がないと感じた場合は、印を付けるなどして一度先へ進み、必要なら後から戻って確認する方法もあります。
理解のために必要な読み返しと、必要以上に同じ箇所で止まり続けることを分けて考えることが大切です。
難しすぎる場合は入門書へ戻る
専門書を読んでいて、
「1ページ進むだけでもかなり時間がかかる」
「知らない言葉ばかりで内容がほとんど分からない」
という場合は、速く読む練習をする前に、本の難易度が自分に合っているか確認してみてください。
難しい本を読むことが悪いわけではありません。
ただし、前提知識が不足している状態では、用語や背景を確認する回数が増えるため、読むのに時間がかかります。
その場合は、同じ分野の入門書や、より基本的な内容を扱った本へ一度戻る方法もあります。
前提知識が増えてから同じ本へ戻ると、以前より内容を理解しやすくなることがあります。
同じ分野の本を読む
初めて読む分野の本は、専門用語や知らない考え方が多く、読み進めるのに時間がかかることがあります。
一方で、同じ分野の本を何冊か読んでいると、
- よく使われる専門用語
- 基本的な考え方
- 人物や出来事
- その分野で前提となる知識
などが少しずつ分かるようになります。
すると、新しい本を読んだときにも「これは前にも出てきた内容だ」と理解しやすくなり、そのたびに調べたり、何度も読み返したりすることが減る場合があります。
その結果、最初に読んだ本よりもスムーズに読み進められることがあります。
ただし、同じ分野の本をたくさん読めば、必ず読書速度が上がるという意味ではありません。
前提知識が増えることで内容を理解しやすくなり、結果として読むのにかかる時間が短くなる場合があります。
速く読むほど理解できるわけではない
読書速度を上げるときに注意したいのが、読む速さと理解度のバランスです。
「今より速く読めるようになりたい」と思うと、できるだけ文字を速く目で追うことを意識してしまいます。
しかし、速く読めたとしても、
「何が書いてあったのか分からない」
「読み終わったけれど内容をほとんど覚えていない」
という状態では、読む目的によっては意味がありません。
日本語の短編小説を使って、読書速度や理解度、眼球運動を調べた速読に関する研究では、速読訓練を受けた人の一部で、読む速度が速い一方、理解度が低い傾向も報告されています。
もちろん、この結果だけで「速く読むと必ず理解度が下がる」とは言えません。
ただ、読む速度だけを上げれば、読書が効率的になるとは限らないことは意識しておきたいところです。
細かい部分まですべて理解する必要がない場合は、文章の概要や必要な情報を拾いながら読むことで、短い時間で目的の情報へたどり着けることがあります。
「どれだけ速く読めるか」ではなく、「どこまで理解する必要があるのか」を先に考えることが大切です。
精読は理解を優先して読む
重要な内容を詳しく理解したい場合は、時間をかけて丁寧に読みます。
例えば、
- 資格試験の教材
- 初めて学ぶ専門分野
- 重要な定義や考え方
- 前後の論理を正確に理解したい文章
などです。
このような場面では、読む速度を落としたり、必要に応じて前の文章へ戻ったりしても問題ありません。
通読は本全体を普通に読み進める
本全体の内容を追いながら、最初から最後まで読み進める方法です。
すべての文章を細かく分析する必要はありませんが、話の流れや著者の主張を追いながら読みます。
普段、小説やビジネス書などを普通に読んでいるときは、この読み方に近いことが多いと思います。
スキミングは概要や必要な情報を探すために使う
スキミングでは、見出しや重要そうな部分を確認しながら、文章の概要をつかんだり、必要な情報を探したりします。
そのため、全文を一字一句読むより短い時間で進められます。
ただし、スキミングで速く読めたことと、本文を細かい部分まで高速で理解できたことは同じではありません。
例えば、
「この本に自分が知りたい内容が書かれているか確認したい」
「この章の結論だけ知りたい」
という場合には便利ですが、詳しい理解が必要な部分まで飛ばしてしまえば、理解できる情報も減ります。
日本語の速読研究では、速さと理解の両方に差が見られている
先ほど紹介した研究では、速読訓練を受けた参加者の中に、一般の読者より速く読める一方で、内容の理解度が低かった人もいました。
一方、高い速読技能を持つ1名については、速く読みながらも比較的理解度が保たれていたと報告されています。
つまり、速く読める人が必ず内容を理解できなくなるわけでも、速読の訓練をすれば誰でも理解度を保ったまま大幅に速く読めるわけでもありません。
また、参加者数が少ない研究のため、この結果だけで速読全体の効果を決めることもできません。
そのため、今回の記事では特殊な速読技術を身につけることよりも、読む目的に合わせて精読・通読・スキミングを使い分けることを基本にしています。
戻り読みは全部なくさなくていい
読書速度を上げる方法として、
「前の文章へ戻らない」
「戻り読みをなくす」
といった方法が紹介されることがあります。
確かに、必要のないところで何度も同じ文章を読み返していると、1冊を読み終えるまでに時間がかかります。
しかし、戻り読みそのものが悪いわけではありません。
文章を読んでいて、
- 意味を取り違えたことに気づいた
- 前に出てきた説明を確認したくなった
- 重要な内容をもう一度読みたい
という場合は、前の文章へ戻って確認することがあります。
日本語学習者の文章読解中の眼球運動を調べた東京外国語大学の研究では、文章を読むときの視線の動きや読み返し方について調べています。
この研究は日本語学習者を対象としているため、すべての読者にそのまま当てはまるとは言えません。
それでも、内容を確認するための戻り読みまで、無理になくす必要はありません。
理解のために戻ることには意味がある
例えば、文章の途中で、
「この『それ』は何を指していたのだろう?」
「前に出てきた説明とどうつながっているのだろう?」
と感じることがあります。
そのとき、少し前へ戻って確認することで内容を理解できるのであれば、無理に戻り読みを我慢する必要はありません。
特に、
- 難しい専門書
- 複雑な説明が続く文章
- 前後の関係が重要な内容
では、前の文章へ戻ることが必要になる場合があります。
何度も同じ場所へ戻るなら原因を確認する
一方で、毎回同じ一文を何度も読み直している場合は、戻り読みを無理に禁止するのではなく、なぜ何度も戻っているのかを確認してみてください。
例えば、
- 本の内容が難しすぎる
- 前提知識が足りない
- 読む目的が決まっていない
- 集中が切れて内容が頭に入っていない
といった別の原因が考えられます。
この場合は、「絶対に前へ戻らないようにする」のではなく、その原因に合わせて読み方を変えたほうがよいと思います。
理解のために必要な読み返しは残し、必要以上に何度も同じ箇所へ戻っている場合だけ原因を見直す。
このくらいの考え方で十分です。
頭の中の音声化は無理になくさなくていい
文章を読んでいるとき、頭の中で文章を読み上げるように読んでいる方もいると思います。
このような読み方は「脳内音読」や「音声化」と呼ばれることがあり、読書速度を上げる方法として「音声化をやめる」という話を見かけることもあります。
ただ、読書速度を上げるために、頭の中の音声化をすべてなくす必要はありません。
小説のセリフや文章のリズムを楽しみながら読む場合など、頭の中で言葉の音を感じながら読むこともあります。
そのため、
- 内容をきちんと理解できているか
- 一語ずつ丁寧に読みすぎて時間がかかっていないか
- そもそも速く読む必要がある本なのか
を確認してみてください。
例えば、概要だけを知りたい部分は少し速めに読み、重要な部分やじっくり読みたい部分は自分のペースで読む、といった使い分けでもよいと思います。
音声化をなくすことよりも、読む目的に合わせてペースを変えることが大切です。
頭の中で文章を読み上げること自体が気になる方は、読書中に頭の中で音声化しない方法で詳しく紹介しています。
読む速度を上げなくてもいい本もある
読書速度を上げたいと思っても、すべての本を速く読む必要はありません。
特に、
- 小説やライトノベル
- 難しい専門書
- 初めて学ぶ分野の本
などは、速さよりも内容を理解したり、作品を楽しんだりすることを優先してもよいと思います。
小説やライトノベルは楽しむことを優先してもいい
小説やライトノベルは、必要な情報をできるだけ早く集めるためだけに読むものではありません。
登場人物の会話や情景を思い浮かべたり、続きがどうなるのか楽しんだりしながら読むことも、読書の目的の一つです。
私自身、『狼と香辛料』1〜17巻を収録したKindle合本版を、子どもが寝た後から自分が寝るまでの5〜10分ほどを使って少しずつ読みました。
一気に読み終えたわけではなく、読破するまでに約4年半かかっています。

『狼と香辛料』を読了後にAmazonへ投稿したレビュー。約4年半かけて少しずつ読み続けた体験を書いています。
私の場合は、早く読み終えることよりも「続きが読みたい」と思いながら少しずつ読むことを楽しんでいました。
このような読書まで、「もっと速く読まなければならない」と考える必要はないと思います。
物語を楽しむことが目的なら、読む速度よりも自分が楽しめるペースを優先しても問題ありません。
難しい専門書は理解を優先する
専門書では、普段使わない言葉や、前提となる知識が多く出てくることがあります。
そのため、一般的な本より読むのに時間がかかる場合があります。
ここで無理に速度を上げると、「ページは進んだけれど、結局よく分からなかった」という状態になりかねません。
専門書を読む目的が知識を身につけることなら、重要な部分で立ち止まったり、前のページへ戻ったりしてもよいでしょう。
どうしても内容が難しい場合は、速く読むことよりも、入門書などで必要な知識を補ってから戻る方法もあります。
初めて学ぶ分野は時間がかかって当然
初めて読む分野では、
- 知らない専門用語を調べる
- 人物や出来事を確認する
- 新しい考え方を理解する
などに時間がかかります。
これは、読むのが遅いからとは限りません。
同じ分野の本を読み続けるうちに、以前に調べた言葉や考え方が再び出てくることがあります。
すると、最初の本よりスムーズに読めるようになる場合があります。
読書速度を上げたいときは、速く読んでもよい本・部分と、時間をかけて読んだほうがよい本・部分を分けることも大切です。
読書速度を測るなら理解度も一緒に確認する
読書速度を上げたいとき、
「1分間に何文字読めるか」
「10分で何ページ読めるか」
を測りたくなることもあると思います。
自分の変化を確認する方法の一つとして、読む速度を測ること自体は問題ありません。
ただし、速く読めたかどうかだけで改善と判断しないことが大切です。
例えば、
- 以前は10分で5ページ読んで、内容を理解できていた
- 今回は10分で10ページ読めたが、ほとんど内容を説明できない
という状態なら、読む目的によっては「読書速度が改善した」とは言いにくいでしょう。
速度と一緒に「何を理解できたか」を確認する
読書速度を測る場合は、
- 何が書かれていたか簡単に説明できるか
- 自分が知りたかった情報を得られたか
- 重要な部分を理解できているか
も一緒に確認してみてください。
細かい内容まで理解する必要がない本なら、概要をつかめていれば十分な場合もあります。
一方で、勉強や専門書のように正確な理解が必要な場合は、ページ数よりも内容を理解できたかを優先します。
平均読書速度と比べすぎなくていい
インターネットでは、
「平均読書速度は1分○文字」
「速い人は1分○千文字」
といった数字を見かけることがあります。
しかし、読む速度は、
- 文章の難しさ
- ジャンル
- 前提知識
- 読む目的
- どこまで理解する必要があるか
によって変わります。
また、英語圏の研究で使われる「words per minute(1分あたりの語数)」を、そのまま日本語の文字数へ置き換えることもできません。
そのため、平均より遅い=読書が下手と考える必要はありません。
他の人と比べるよりも、
「同じくらいの難しさの本を、以前より無理なく読めるようになったか」
「必要な情報へ以前より早くたどり着けるようになったか」
を確認するほうが、自分の変化を判断しやすいと思います。
読書速度についてよくある質問
Q. 読書速度は速いほどいいですか?
A. 速ければ速いほど良いとは限りません。
概要だけ知りたい場合は速めに読めますが、専門書や資格教材など、内容を詳しく理解したい場合はゆっくり読む必要があります。
読む目的に合わせて速度を変えることが大切です。
Q. 読書速度は練習で上がりますか?
A. 読書経験が増えたり、語彙や前提知識が増えたりすることで、以前より読みやすくなる場合はあります。
ただし、理解度を保ったまま誰でも簡単に2倍、3倍と速く読めるようになるとは言い切れません。
読む速度だけでなく、内容を理解できているかも一緒に確認してください。
Q. 速読すると理解度は下がりますか?
A. 読む速度を大幅に上げると、理解度との間にトレードオフが生じることが研究で指摘されています。
一方で、細かい内容まで理解する必要がない場合は、スキミングなどを使って概要や必要な情報へ早くたどり着くことはできます。
「どこまで理解したいのか」によって読み方を変えてください。
Q. 戻り読みはやめたほうがいいですか?
A. 必ずしもやめる必要はありません。
文章の意味を確認したり、前に出てきた説明との関係を確かめたりするために、読み返すことが役立つ場合があります。
ただし、集中が切れて同じ場所を何度も読み直している場合などは、戻り読みそのものではなく、その原因を確認したほうがよいでしょう。
Q. 頭の中で音読すると読むのが遅くなりますか?
A. 頭の中で一文字ずつ読み上げることが、読む速度を上げにくいと感じる人はいると思います。
ただし、音声化を完全になくせば、誰でも理解度を保ったまま速く読めるとは言えません。
音声化そのものが気になる方は、読書中に頭の中で音声化しない方法も参考にしてみてください。
Q. 指やペンで文章を追うと速く読めますか?
A. 指やペンを使って読む場所を示す方法は、読むペースを意識する手段として試すことはできます。
ただし、誰でも必ず読書速度が上がる方法とは言い切れません。
自分にとって読みやすい場合に使う程度でよいと思います。
Q. 視野を広げれば速読できますか?
A. 「ページ全体を一目で読む」「数行をまとめて細かく認識する」といった極端な速読法は、慎重に考える必要があります。
視野を広げるだけで、全文を詳しく理解できるようになるとは考えないほうがよいでしょう。
Q. 1冊何分で読めれば速いですか?
A. 一律には決められません。
本によって、
- ページ数
- 文字量
- 難易度
- ジャンル
- 読者の前提知識
が違うためです。
「1冊○分」という数字を目標にするより、必要な内容を理解しながら以前より効率よく読めているかを確認してください。
Q. 小説も速く読んだほうがいいですか?
A. 小説を楽しむことが目的なら、速さを優先する必要はありません。
登場人物や情景、文章そのものを楽しみながら、自分のペースで読むことも読書の楽しみ方の一つです。
Q. 専門書を読むのが遅いです。どうすればいいですか?
A. 専門書は、専門用語や前提知識を確認しながら読む必要があるため、時間がかかることがあります。
内容が難しすぎる場合は、無理に速く読もうとするより、入門書へ戻ったり、必要な前提知識を補ったりする方法もあります。
まとめ:速読より、目的に合わせて読む速度を変える
今回は、読書速度を上げるための考え方について紹介しました。
読書速度を上げたいと思うと、
「できるだけ速く文字を追う」
「戻り読みをなくす」
「頭の中の音声化をなくす」
といった方法に目が向きやすくなります。
しかし、読書は速ければ速いほど良いわけではありません。
大切なのは、
- 何のために本を読むのか決める
- すべての文章を同じ速度で読まず、重要度に合わせてペースを変える
- 精読・通読・スキミングを目的によって使い分ける
- 必要な戻り読みや音声化まで無理になくそうとしない
- 難しい本は前提知識を補い、必要なら入門書へ戻る
- 読む速度だけでなく、内容を理解できたかも確認する
ことです。
私自身、読書をするときに、すべての本を同じような速度で読んでいるわけではありません。
情報を探すために読む本もあれば、『狼と香辛料』のように、短い時間を積み重ねながら約4年半かけて読み終えた本もあります。
本によって読む目的は違います。
そのため、読書速度を上げるときも、「どうすれば全部を速く読めるか」ではなく、「どこを速く読み、どこを丁寧に読むか」を考えてみてください。
必要な情報へ今より効率よくたどり着きながら、理解したいところはしっかり理解する。
そのように読む速度を使い分けることが、無理なく読書にかかる時間を減らす方法だと思います。